不動産投資における債務超過と減資の役割

不動産投資における債務超過とは、所有する総資産がアパートローンなどの返済を負債とした場合に、負債が収益を上まわる場合の状態を言います。このような場合の、債務超過と減資の役割について紹介したいと思います。

不動産投資と債務超過の関係

不動産投資では、いくつかの物件を所有して賃貸経営を行い、家賃収入によって収益を得る事が目的になっています。しかし、時には環境の変化や社会経済の影響を受けて空室がでたり、ローンの金利が上がったりと、賃貸経営に影響が出てしまい、債務超過の可能性が出てくる場合もあります。

不動産投資での債務超過は、投資した物件の価値が下がる事で、負債であるアパートローンなどの返済が出来なくなる状態になります。債務超過になったからと言って、すぐに経営が悪化したり、倒産(個人の場合は破産)したりするわけではありません。負債の返済の目途をつける為の対策を講じれば良いのです。

債務超過と減資の役割

一般の会社でも経営の悪化や収益のマイナスによって、累積赤字を減らす事で経営の安定に努めます。例えば、会社が所有している土地や施設などを売却して、赤字を減らす方法です。法人の場合には、資本金の額が1億円以上と1億円以下では税金の割合が異なる為、節税の役割もあります。

減資とは、資産を売却して負債に充てる事で実質的な資本を減らす事にあります。このように、総資産に対して資本金を減らす行為を「有償減資」と言います。もうひとつは、「無償減資」ですが、収益の決算で繰り越しなどによりマイナスを解消する方法で、実質的には資本金に変動がない事です。

不動産投資における減資の役割

不動産投資の場合、収益の方法は賃貸経営による家賃収入がメインとなりますが、不動産売却による収益も収入になります。しかし、不動産売却の場合は、プラスの収益を生む事は、難しいのです。

不動産投資で債務超過になった場合には、負債を解消する為に不動産の売却によって返済に充てる事です。つまり、総資産の中から売却によって資産を減らす事で、負債を解消する方法が減資に相当します。

自己資本の割合は、純資産を総資産で割った比率になります。純資産が500万円で物件の価格が3,000万円と2,000万円の2つあった場合の計算式です。

① 現在の自己資本率
自己資本比率=純資産(500万円)÷総資産(5,000万円)×100=10%

② 2,000万円の物件売却による自己資本率
自己資本比率=純資産(2,500万円)÷総資産(3,000万円)×100=83.333%

※だいぶ大雑把な計算ですが、売却による減資で自己資本比率を高めています。

物件の売却による負債額の相殺

不動産投資では、場合によっては投資物件を売却しなければなりません。先に紹介したように、減資の役割は自己資本の比率を高める事にありますが、賃貸経営による負債を相殺する役割も考える事です。

このように、家賃収入と物件売却の繰り返しにより、不動産経営が順調である事を金融機関に示す事で、新たな不動産投資を可能にする事が出来ます。金融機関は、純資産の金額によって融資が可能かどうかを検討するのです。

まとめ

利益が出る物件選びと売却する時期を選ぶ事で、減資による純資産を増やす事が可能です。債務超過にならない為には、相場よりも価値が出そうな物件を選ぶ事が重要になってきます。

5000万円の物件が将来的に6000万円で売れるのであれば、売却を惜しまない事も重要です。利益によって自己資本率を高めて、更に大きな投資へとつなげて行く事が不動産投資の本来の目的ではないでしょうか。

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