共有不動産で賃貸借契約書を交わす場合の知っておくべき事

遺産相続などで、不動産の扱いを、共有の不動産にする場合があります。共有の名義の場合は、何かと不都合になるケースも少なくないものです。トラブルにならない為には、知っておくべき注意事項があります。本題は、共有不動産で賃貸借契約書を交わす場合の知っておくべき事を紹介しましょう。

共有不動産の性質

共有不動産を、売却する場合においては、全員分の了解を取り付ける必要があります。例えば、3人兄弟で3分の1ずつを共有している場合において、兄弟2人分が、不動産の売却に賛成したとしても、1人でも、その同意を得る事が出来なければ、売却自体は無効となってしまいます。かなりの大人数だった場合にも、1人が拒否すれば、契約が成立しない事になります。

共有不動産を賃貸物件としての可否

では、共有不動産を賃貸物件として扱う場合においては、どうなるのでしょうか。同じように3人兄弟で3分の1ずつを共有している場合において、兄弟2人分が、賃貸借契約書を交わす事に賛成していますが、1人だけが反対をしているケースでは、賃貸借契約書を交わす事に対しては、民法では、これを認めているのです。

この場合には、賛成分の割合が判断の決め手になってきます。共有名義の物件を、賃貸契約する場合の必要な割合は、過半数以上の持分の保有者が賛成に同意があれば認められることになります。

賃貸物件として共有不動産の解約

同じように、解約の場合でも、3人のうちの1人が反対しても、持分の割合が過半数以上の判断に従う事になっています。2人の場合に、1人の持分が3分の2あるいは、2分の1以上であれば、その判断に従う事が認められるのです。

ある裁判の事例では、当事者が複数いる場合には、不動産の契約においては、全員又は、全員に対してのみ有効とされていますが、共有物件の売買契約とは異なった見解を示しています。

賃貸物件は、管理行為としてみなされており、契約の解除に該当するものではなく、および、単独の保存行為にも該当しない為に、共有する持分の過半数で決定する事が出来るとあります。民法第544条および同法第252条但書によるものです。

ただし、裁判の見解は正しいとされたものの、出来る限りは、話し合いによって全員の同意を得た方が適切であると意見を示しました。

管理行為としての賃貸契約

◯建物を建てない条件の土地の賃貸は5年以下とする。
◯一時使用目的の建物の賃貸を3年以下とする。
◯例外として少数持分権者の利益に反しない賃貸借である事。

賃貸借契約書の賃貸人の名義

3人のうちの1人が反対している物件ですが、2人の同意を得て契約書の作成をする場合は、賃貸人は3人にした方が良いでしょう。決定権は過半数以上にあっても、共有する不動産の権利はあるのです。(署名と捺印は2人分だけでも可能です。)

反対した共有者を除外した形式の契約書は、契約相手に違法な行為と誤解される為に全員分の名義にする必要があるのです。

まとめ

共有不動産の賃貸契約は、管理行為に該当する場合には、その可否を過半数としますが、基本的には全員分の合意を得た方が良いのです。仮に過半数以上で決定を出すにしても、少数意見の権利も保持する事が重要なので、出来る限りの話し合いによる合意を求めます。無理な実行は、裁判によって停滞し契約にも弊害が出るからです。

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