空き家の相続問題と売却の新ルール

カテゴリ:相続のこと

通常での遺産を相続した場合を受け入れるべきなのですが、相続においての問題点もかさなって、どうするべきか迷う事が出てきます。空き家の相続は特に複雑です。売却する場合の新ルールを中心に説明しましょう。

空き家の相続問題

空き家を相続した場合には維持費の問題があって、素直に受け入れられない事から、相続人の間でも、相続を押し付けあう事もあると言います。その理由となるのが、売却における資産価値がなくなる点です。空き家のままで放置された場合には、管理状態は良いとは言えず、庭がある場合には草木の処理にも困ってしまいます。

このように見た目だけでも、資産価値が推測できる場合や空き家となって間もない状態でも、そこに住もうとする人は少ないでしょう。仮に、そのまま放置していても、維持費などで管理費用や固定資産税の支払いは続くわけなので、相続を拒否する場合もあるのです。

相続を拒否しても責任が残る

資産価値を考えても、管理維持にかかる費用に比べたら、売る事を考えてもたいした額にはならないと考えて、相続放棄をした場合にどうなるのでしょう。他の人が相続すれば良いかもしれませんが、対象者が自分だけの場合ですと、放棄した空き家の責任が残ってしまうのが問題です。

遺産放棄する事で、空き家の管理問題がなくなるわけではありません。例えば、空き家が何らかの原因で火災を起こして、周りの住宅に延焼した場合の責任やゴミ屋敷による異臭騒ぎ、浮浪者や若者のたまり場になる事での迷惑行為などが考えられます。

賠償責任が発生した場合に相手になるのは、遺産放棄した場合でも当人が責任追及の矛先になってしまうのです。

売却する旧ルールが複雑

相続物件を売る場合にしても必ず損するわけでなく、「特別控除」や「3年以内の売却での取得費加算の特例」によって、プラスの面も大きかったので、住居を管理するよりは売却する上での利点は大きいのです。

しかし、2019年4月以前のルールでは居住していたのか、所有していただけなのかが問題点となったのです。対象者である親が、介護上の理由によって介護施設に転居した場合の、「住居として住んでいた証明」を明らかにする事が非常に困難な為に、「特別控除」や「3年以内の売却での取得費加算の特例」における「居住」の観点から除外される可能性があった為に、活用できなかったのです。

高齢者を抱えた介護問題が相続の件にも大きく関わる点で、政府は税制の改正によって、相続における不動産の流通に便宜をはかり、新ルールの活用が利用しやすくなりました。

空き家売却の新ルール

老人ホームなどの介護施設へ転居の場合でも、条件を満たす事により特別控除である3,000万円の利用を認めた事で、空き家問題での売却もスムーズに活用できる事になりました。

①被相続人における介護施設の利用が、要介護認定の条件を受けており、相続開始前まで、介護施設での入居での生活が明らかであった事。

②対象者が、介護施設へ入居する直前までに、自宅に住んでいた事を明らかにし、相続の直前までに、事業用の貸付をしていない事や、被相続人以外が居住用に使用していなかった事。

③特例を受ける為には、およそ3年以内の相続による空き家の売却をする事で条件の適用を受ける事が可能。
※相続発生から3年経過した年の12月31日が期限となります。
※特例には、全ての不動産の売却による価格は、上限が1億円とします。

併用不可な「取得費加算の特例」

相続税の支払いにおいては、3年以内の売却を条件とした特別控除と同じく、支払った相続税の中から「取得費加算の特例」により、一定金額が相続税の控除が利用できて税金の支払いを軽減できますが、特別控除の3,000万円の利用と併用する事が出来なくなってしまい、どちらか一方の選択をする事が、2019年の4月から適用されました。

まとめ

空き家の相続問題は家族間ばかりでなく、その対象物件の周りの人にまで影響を及ぼす事になるのです。相続放棄しても責任が残る場合もあるので、空き家の売却の特例を受ける為にも、3年売内の売却を行う事をお勧めしているのです。

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