「妻」と「夫の親」~相続の割合~

カテゴリ:相続のこと

はじめに

亡くなった人の財産を相続するとき、誰がどれくらいの財産を相続するのかは法律によって決められており、相続の権利を持つ人のことを法定相続人、法定相続人が相続する割合のことを法定相続分と呼びます。
ところで「夫」が亡くなった場合、「妻」と「夫の親」の法定相続分はどのようになるのでしょうか?
相談事例を参考にしながら見ていくことにしましょう。

相談事例

42歳の女性です。
18歳で同い年の男性と結婚し、19歳と22歳のときに男の子を授かりました。
2人の年齢が若かったせいか、当時、夫の両親には結婚を猛反対され、結婚式を挙げることもできず、駆け落ち同然の結婚でした。

そんな事情でしたので夫の両親とは疎遠な状況が続いており、夫の実家から遠く離れた私の実家近くに住んでいることもあって、結婚してからは一度も夫の両親に会っていませんでした。
それでも家族4人で幸せに暮らしていたのですが、昨年の暮れ、人間ドックで夫に肺がんが見つかりました。

年齢が若いためかがんのまわりが早く、すでに脳などに転移していて手術は不可能な状態で、先月、夫はあっけなく42歳で亡くなってしまいました。
夫は25歳のときに脱サラして会社を立ち上げており、経営もうまくいっていたので、家や車、預貯金などを含めてそれなりの遺産を残してくれました。

ところが、先日、夫の父親から連絡があり、「自分たちにも遺産をもらう権利はある。それに息子が早死にしたのはお前のせいなのだから慰謝料代わりに遺産の半分を渡せ」といわれました。
私は法律にはまったく詳しくなく、どうすればよいのかわかりません。

「親なのだから、息子の遺産を相続する権利はあるのかもしれない」と思ったりもします。
こういう場合、法律ではどのように決まっているのでしょうか?

妻と子で相続する

結論からいえば、このケースでは妻である相談者の方とその子どもさんが法定相続人となって遺産を相続することになり、夫の親は遺産を相続できません。
法定相続分は、相談者の方(妻)が遺産の半分を相続し、残りの遺産は2人の息子さんでさらに半分ずつを相続することとなります。
法律では、遺産相続において配偶者は常に相続人となることが決まっています。

万が一、遺言書などで配偶者の相続分が遺産の半分以下にされていたり、ゼロにされていたとしても、配偶者は請求によって遺産の半分を相続することができます。
そして、法定相続人の順位としては、配偶者の次が子どもとなっていますので、事例のケースでは妻と2人の子どもで遺産を相続することになるのです。
もし、事例のケースで子どもがいなければ、夫の親にも遺産を相続する権利が発生することになります。

ただし、この場合には妻(配偶者)と親で半分ずつとなるのではなく、妻の相続割合が3分の2に増え、残りの3分の1を親が相続することになります。

最後に

配偶者が常に相続人となることができるのは、法律的に夫婦になっているときだけです。
事実婚など、内縁関係の場合は、配偶者に相続の権利はありませんので注意してください。

本コラムをご覧になってのお問い合わせ、ご相談はこちらから

お電話でのお問い合わせ
TEL:045-309-6115(受付時間:10:00 – 18:00 水日祝休み