【横浜市中区の不動産屋発信】遺産を相続した場合、確定申告の時に申告しなければいけない?

カテゴリ:不動産基礎知識

年間の所得を基に課税額を決定するために行われる確定申告。毎年2月から3月頃にかけて行うこととなるその手続きですが、相続が発生した場合、これについても所得として申告するべきなのでしょうか? 相続にかかる税金について触れながら、お答えします。

相続に課税される相続税

相続が発生した場合、相続人が受け継ぐ遺産に課せられる税金が相続税に当たります。ですが、遺産を受け取るとすべからく納税義務が生じるというわけではありません。相続税の支払い義務が生じるのは、遺産の総額が基礎控除を上回るケースにおいてとされています。基礎控除額の求め方については、次の計算の通りです。

相続税の基礎控除額=3000万円+600万円×相続人の数

遺産の総額から基礎控除分を差し引いた残りの額が課税対象となるわけです。つまりは、遺産総額が基礎控除を下回っていれば、相続税は発生しないということとなります。

相続税の課税対象となる場合には、相続の開始すなわち被相続人の死去を知った日の翌日から10ヵ月以内に、被相続人住所の所轄税務署にて相続税の申告および納税を行わねばなりません。

相続税の申告により、配偶者相続人の遺産受け取り分について基礎控除以上の配偶者控除が設けられることとなります。すなわち、配偶者が受け取る分の遺産に関して、1億6000万円以下もしくは配偶者の法定相続分に相当する額までなら、課税対象外と見做されるわけです。
しかしこの配偶者控除は相続税申告が無い限りは適用されません。「遺産総額が基礎控除分を上回っているけど、どのみち配偶者控除で納税額ゼロとなるから申告は無用」などと早合点してしまわないよう注意しましょう。

確定申告でも相続で得た資産を申告すべき?

確定申告は、就労や経営投資などによって得た1年間の所得を行政機関に報告する手続きに当たります。これによって所得税、住民税、健康保険税など、所得の額に基づいて課せられる税金の額が決定されるわけです。

その確定申告において、相続で得た財産についても申告する必要はあるのでしょうか?答えは、原則的にノーです。遺産については、確定申告に所得として反映する必要はありません。なぜならば、取得した遺産については、相続税の申告ないし基礎控除の適用によって、課税可否のチェックが済んでいるものと見做されるためです。

つまり、遺産については既に相続税という枠で課税審査を受けたものに該当するので、同じものに対して所得という枠での再審査は不要とされるわけです。しかし、相続で得た資産にも、条件によっては確定申告へ反映しなければならない場合があります。そのケースとして以下のものが挙げられます。

収入を生み出す資産を相続した場合

たとえば賃貸借契約が結ばれている土地や建物など、毎月の賃料が得られるタイプの不動産を相続した場合、そこから得る月々の収入について確定申告しなければなりません。相続の時点で、不動産名義が故人から新たな所有者である相続人へと変更されるため、以降相続人本人の所得として申告が必要となるわけです。

相続した資産を売却した場合

たとえば遺産として受け継いだ土地や建物を売却する際、そこから得た代金は確定申告の対象となります。不動産所有者の名義を相続人に変更した後での売却となるため、通常の不動産売却と同様に確定申告への反映が必要と見做されるわけです。

しかし、相続税が課税されていた場合、特例により課税額が減免される措置が取られます。これが適用されるのは、相続税の申告期限から3年以内です。

まとめ

以上について要点をまとまめると、以下の通りとなります。
◆相続については基礎控除および相続税申告によって課税状況が判断されることになるので、所得についての課税判断に当たる確定申告は不要。
◆土地や建物の賃料など収入が得られる不動産を相続した場合や、相続不動産を売却した場合には確定申告する必要がある。

どうしても難しい点がある場合は、やはりその分野に詳しい専門家へのご相談をお勧め致します。

本コラムをご覧になってのお問い合わせ、ご相談はこちらから

お電話でのお問い合わせ
TEL:045-309-6115(受付時間:10:00 – 18:00 水日祝休み