共有名義の不動産運営上の経費管理について

カテゴリ:不動産基礎知識

はじめに

複数の人が共有名義でマンションなどを購入して、そこから利益を得る場合には、売却にしても賃貸にしても制限がかかることは、皆さんご存じのことでしょう。
単独ではなく複数人の共有なので、売却については当然全員一致が必要となりますが、賃貸の場合はどのような制限がかかるのでしょうか?
この記事では、共有名義のマンションを賃貸する場合の、ルールや経費などについて、ご紹介したいと思います。

共有物の取扱いについておさらい

複数人が共有でマンションなどを購入したときの民法上の取扱いについては、民法252条で定義されています。
例えば、マンションの壁紙の張り替えや水漏れ工事などは、「共有物の保存」になり、それぞれの持分に応じて単独で行うことが可能です。
また実際に部屋の借り主が変わる場合は「保存行為以外の管理行為」になり、各共有者の持分にしたがって、過半数の同意が必要となります。
さらに借主に売却するときは「共有物の変更」となり、この場合は上でも書いた通り共有者全員の同意が必要です。

共有名義マンションで得た収入の管理について

さて、共同で所有している賃貸マンションで得た収益は、共有名義人の持分の割合ごとで、共有者に分配していくことになります。
賃貸不動産で得た不動産収益の配分については「共有者が個々で管理していく方法」と「共有名義人の中から1名、代表者を選び会計帳簿上で配分していく方法」があります。

代表者を設ける場合の使用預金口座は、選ばれた1名の個人口座を使用します。
しかし実際は共有の経費管理のための専用口座とします。
この共有口座は、不動産管理会社への支払いや賃借人からの家賃振り込みなどに使用されます。

共有名義のマンションの会計処理について

前項では、共有名義のマンションなどを運営するときの銀行口座の取扱いについてふれましたが、つづいて会計上の処理について見ていきたいと思います。
この場合2つの方法があります。以下に見ていきましょう。

取引ごとに項目を分けて記録する方法

例えばご夫婦で1/2ずつの持分であれば、それぞれの持分のみを各帳簿に記載していく方法です。
具体的には家賃収入が月々10万円入った場合、それぞれ家賃収入5万円と記載します。
マンション経営にかかる経費についても、各支払いごとに分けて記載していきます。
この方法は内容が明確でわかりやすいのですが、手間がかかるというデメリットがあります。

帳簿を代表者名で一つにまとめて決算のときに配分していく方法

この方法は、日々の支払いや支出など取引全般を一つにまとめ、タイトルの通り決算時に配分していく方法で、決算書は共有者それぞれの分を作成します。
この方法はわかりやすい方法と言われていますが、ケースによっては難しい判断が必要になる場合もあります。
一般的にこの方法をとった場合、決算時には「合計決算書」「科目ごとの配分率表」「共有名義人ごとの決算書」を作成し、確定申告していく必要があります。

先に挙げた2つの方法とも面倒な点もありますが、次年度以降は処理が楽になります。
それぞれの方法を吟味して、良い方法を検討されることをおすすめします。

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