投資物件を清算しても投資額が上回っているときは債務超過です

債務超過とは、投資物件を清算しても債務額が上回っているときに起こる状況です。よく企業などの業績悪化に伴う債務超過ということを聞くことがあると思いますが、それは不動産投資の世界でも起こることです。今回は、不動産等における債務超過と、いち早く見つけるための貸借対照表の見方を説明します。

不動産投資における債務超過

不動産投資における債務超過とは、ローンで不動産を購入し、不動産運営を行っている場合、残りのローンの残債よりも、不動産の資産価値が下がることがあり、そのような状況を債務超過といいます。

例をあげてみましょう。
●フルローンで5000万円のマンションを購入
●数年経過し、残りのローンは3000万円
●マンションの資産価値は3500万円
●手元にある現金200万円

総資産は、マンション3500万円+現金200万円=3700万円です。これに対して借入金の残高は3000万円になり、差し引き700万円の債務超過であることがわかります。

貸借対照表の見方

バランスシートとも呼ばれる貸借対照表は、不動産経営の会計期間における資金調達と資金運用の状態を示す書類です。貸借対照表の構造は、左側と右側に分かれていて、左側の合計と右側の合計が等しくなります。

●貸借対照表の構造
【左側】資産:現在所有している財産・売掛金・固定資産(土地、建物)など。

【右側】負債:金融機関へ返済必要な融資など、他人資本による調達。
【右側】純資産:返済不要な資金(自己資金)。

【左側】資産=【右側】負債+純資産
【左側】資産-【右側】負債=【右側】純資産
※純資産がマイナスになると、債務超過ということがわかります。

決算書の必要性

個人で不動産経営をしている方は、決算書など必要ないと思われるかもしれませんが、これからも順調に不動産経営を進めていきたいとお考えの場合、決算書を作成することで、現在の状況が把握できます。

法人では決算書の損益計算書、貸借対照表ともに作成する必要がありますが、個人事業主として確定申告を行う場合には、白色申告であろうと青色申告であろうと、貸借対照表を作成する必要はありません。

しかし、決算書は事業の成績や財産の状況を一目で確認できる書類です。ご自身の所有する物件がどのような状況であるのか確認できる有益な情報ですので、わかりやすく漏れなく記載することが大切といえるでしょう。

また、金融機関から融資を受ける際に、融資審査で必要とされる場合もあります。その際に融資審査で見られるポイントは、

●自己資本比率の多さ
●当期利益と減価償却費の合計額の大きさ
●安定的な利益を得ているか
●債務超過ではないか

上記のことからもわかるように、返済力の有無と、事業が安定的に進められるかという基準になります。その実績を伝えるためにも決算書は重要になるのです。

まとめ

不動産経営を行う上で、債務超過に陥らないためにもコツコツとバランスシート(貸借対照表)を改善できるよう、家賃収入と繰り上げ返済を並行して行い、負債を減少させ、純資産を増加させていきたいものです。

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