不動産投資の法人化で債務超過を避ける方法

不動産投資における法人化は、かつては富裕層のみの特権という認識が強かったと思いますが、現在ではそのメリットから誰でも法人化を考える時代になりました。しかしながら、メリットだけではありません。当然ながらリスクも存在するわけです。そこで、今回はそのリスク(債務超過)を極力避ける方法を紹介していきたいと思います。

法人化のメリット

不動産投資の法人化のメリットは、ズバリ節税です。個人の所得税率より法人税率の方がはるかに低いのです。2015年度の税制改正で個人の所得税は引き上げられ、2016年度の税制改正では法人税が引き下げられました。

実に個人の最高所得税率は45%になるのに対し、法人の法人実効税率は30%を切ったのです。また、課税所得800万円以下の中小法人の場合、15%の軽減税率も適用され、さらに低くなるのです。

不動産投資である程度の収入がある場合は、明らかに法人化した方が節税につながります。

不動産投資のリスク(債務超過)

不動産投資における債務超過とは、土地建物の残りのローンよりも、不動産の価値が下がった状態などのことを言います。不動産の価値が下がるとはどういう意味でしょうか。

一般的に建物などの不動産は、購入してから数年すると価値が下がります。建物自体が傷んだり、設備なども傷んでくるからです。中には購入した瞬間に価格が3割落ちるという人もいるほどです。

不動産投資における債務超過を次の例で紹介します。

・5000万円のマンションをフルローンで購入。
・数年後、残りのローンは4000万円。手元にある現金500万円。
・この時、マンションの価格は3000万円に下落。
総資産は3500万円。これに対して残りのローンは4000万円。差し引き500万円の債務超過です。

債務超過で困ること

例えばマンションの修繕費に1000万円かかるとします。手元には500万円。残りの500万円は銀行から借りるとします。この場合、銀行は貸してくれるでしょうか。実は債務超過の状態では貸してくれない可能性が非常に高いのです。なぜなら、この物件には担保としての価値がすでに無いものと見なされているからです。

では、この物件を手放そうかと考えるとします。しかし、債務超過の状態では売ることも難しくなるのです。金融機関と合意の上での任意売却という手もありますが、借金だけが残るということもあるのです。

債務超過を避ける方法

債務超過を避ける方法としてまず挙げられるのは、不動産物件を、決して相場より高く買わないことです。その土地の相場をよく検討して、最安値時に購入することです。人口が増加傾向の地域ならば手堅い投資が可能でしょう。

そして法人化のメリットを最大限活用することです。法人だと収支のコントロールや節税がしやすいなどの利点があります。

・法人と個人の実効税率の格差で節税。
・所得分散効果で節税。(家族を役員にし家賃収入から報酬を払うことで、個人所得税の税率が下がり、トータルの税率が下がる)
・短期売却なら法人が有利。(不動産売却で利益が出た時、譲渡税がかかる。個人の場合、5年以内の短期譲渡で39%、長期譲渡で20%、法人の場合、短期譲渡で30%前後と有利)

等など。

まとめ

不動産投資の法人化で債務超過を避ける方法と題して、ここまで書き進めてきましたが、当然のことながら、法人化するだけで債務超過が避けられるわけではありません。法人化していても債務超過に陥る可能性はあるわけです。

ここで大切なのは、不動産の価格というものは上昇もあれば下落もあるということです。どのような時に上昇し、下落するのかを見極めなければなりません。どうしても難しい場合には専門業者に相談することをお勧めします。

本コラムをご覧になってのお問い合わせ、ご相談はこちらから

お電話でのお問い合わせ
TEL:045-309-6115(受付時間:10:00 – 18:00 水日祝休み