不動産を共有名義にする場合の贈与税について

はじめに

不動産は人生で一番の大きな買い物。物件によっては億単位の取引になりますので、共有名義で(各々の負担を減らすためにも)住宅ローンを組むこともあると思います。または物件を相続することを見越して、親と子供で共有名義にすることもあるようです。
このときに出てくるのが税金の問題です。
固定資産税や贈与税、相続税など、大きなお金が動く不動産だからこそ、複数いる所有者の誰が払うのか気になるところです。
今回は不動産を共有名義にしたときの贈与税に焦点を当てて見ていきましょう。

共有名義の持分

不動産を共有名義にする場合は「持分」について理解しておくことが大切です。
持分とは、共有名義で不動産を所有する場合に「その不動産の所有権を誰がどの程度の割合で持つか」を表す用語です。
共有名義の場合、この持分が登記簿謄本(登記事項証明書)に記載されることになります。これを持分登記と呼びます。
持分の割合は、一般的に出資した金額によって決まります。
出資した金額と持分の割合が正確に一致していれば、「贈与」は行われていないのですから、当然のことながら贈与税は発生しません。

共有名義で贈与税が発生するケース

上記にもありますが贈与税を払わなくていいようにするためには、出資した金額と持分の割合を正確に一致させておく必要があります。
もし、出資した金額と持分の割合が異なっていれば、その差額が贈与とみなされ課税の対象とされる可能性があるからです。
例えば、親子で共有名義にするケースで、親が5000万円、子が3000万円を出資して不動産物件を購入した場合に、持分の割合を親子それぞれ50%ずつにしてしまうと、差額の1000万円(子の持分50%にあたる4000万円から、子の出資金額3000万円を引いた額)が贈与とみなされ、贈与税が課税されることになります。

また、持分の割合を決めるときには、住宅ローンの支払い負担にも注意する必要があります。
この場合の例をあげると、夫婦それぞれが自己資金として同額ずつを出資しあって不動産物件を購入し、持分を50%ずつとしたようなケースでも、残る住宅ローンの支払いを夫のみが負担していくのであれば、結果として夫の出資額のほうが多くなるため、贈与税の課税対象となってしまうことになります。
なお、同じようなケースで、自己資金を夫婦それぞれが出資しあったのに、不動産物件の名義をどちらか単独とする場合も贈与とみなされるので注意が必要です。

まとめ

大手の不動産会社や銀行などで共有名義の持分について相談しても、適当に均等の割合にすることをすすめられるケースは珍しくありません。
贈与税の無駄な支払いを避けるためにも、共有名義の持分をどう決めたらいいかわからないときには、信頼できる専門家に相談するようにしましょう。

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