義母の財産相続~実父が再婚したケース~

カテゴリ:相続のこと

はじめに

離婚や死別の後に「独りでは寂しい」と男性が再婚するのはよくあることです。
しかし、継母(義母)より先に実父が亡くなり、その後に義母が亡くなったというようなケースでは、遺産の相続はどのようになるのでしょうか?
相談事例も参考にしながら見ていくことにしましょう。

相談事例

30代後半の男性、会社員をしています。
実母は、私が幼いころ、父以外に別の男を作り、父とほぼ無理やり離婚して駆け落ち同然でその男の人と出ていってしまったそうで、私は実母の顔すら覚えていません。

その後、父は男手ひとつで私を育ててくれていましたが、さすがに寂しかったのでしょうか、私が高校を卒業した後に以前から交際していたらしい女性と再婚することになりました。
私は高校を卒業後に就職して以来、実家を出て、父は義母と二人で仲良く暮らしていたようです。
しかし、そんな父も3年前に胃がんで亡くなりました。
父が亡くなったとき、預貯金や実家の土地建物などの遺産がありましたが、私は義母のことを信頼していましたし、どうせ義母が亡くなれば私がその遺産を相続するのだからと、遺産分割協議で父の遺産すべてを義母が相続するようにしました。
そしてこの前、その義母がすい臓がんを患っていることがわかりました。
余命は半年だそうです。

ところで、この話を少し法律に詳しい友人にしたところ、
「おまえ、このままだと遺産は一銭ももらえないよ」
と言われました。
義母に子どもはいませんが、離れたところに妹がいるそうです。
友人の話では、義母が相続した父の遺産も含めて、すべてその妹が相続することになるとのこと。
しかし、私はその妹に会ったことすらありません。
義理とはいえども、私にとっては母親です。信頼もしていました。
だからこそ、父の遺産も義母が相続するようにしたのです。
なのに、会ったこともない義母の妹が父の遺産まで相続するなんて納得できません。
私はどうすればよいのでしょうか?

義母の財産を相続するためには

相談者の友人がおっしゃるとおり、このままだと相談者の方は相続人になることができません。
法律的に見れば、再婚した場合に自分の子どもと再婚相手との間の親子関係は、自動的に成立するわけではないのです。
ということは、法律的に親子の関係にないということになりますから、当然遺産相続の権利も発生しないということになります。
では、どのようにすれば、義母の遺産を相続できるのかと言えば、相談者と義母との間で養子縁組を成立させればよいということになります。
義母にはほかに子どもがいないということですから、双方の同意により養子縁組が成立して法律的にも親子の関係になれば、相談者の方が遺産を相続することになります。
また、相談者と義母の関係が良好ということですので、養子縁組ではなく、全財産を相談者の方に相続させるよう遺言書を書いてもらうという方法でも大丈夫でしょう。

最後に

今回の相談事例では、義母との関係が良好でしたので養子縁組もしくは遺言書作成という方法で無事解決できそうですが、関係があまり良好でないケースなどではそうはいかないかもしれません。
見ず知らずの人が遺産を相続してしまうということを防ぐためにも、再婚した実親が先に亡くなった場合の遺産分割協議は、よく考えて慎重に行うようにした方がよいでしょう。

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