農地を相続したけど、すぐには相続税が払えない。〜納税猶予制度について〜

カテゴリ:相続のこと

親族の死去(ほとんどの場合は両親のどちらかの死去)等によって、農地を相続したが、相続税の額を知って驚いたという方は、案外多いのではないでしょうか?
こういったケースに対応する為の制度として、”納税猶予制度”があります。

■知っていますか?納税猶予制度。

相続税の支払いの為に農地を売却せざるを得なくなり、それによって農地が減少する事、牽いては食料自給率の低下にもつながる事を避ける為、政府は納税猶予制度を設けています。

農業を営んでいた両親などから農地を相続し、相続人が農業を継続する場合に限り、
相続人が死去して被相続人になるか、一定の期限内に農地を生前一括贈与するまでの間、相続税の納税を猶予する制度です。
また、『納税猶予制度』という名称ではありますが、条件を満たした場合には『納税免除』となる制度です。

■納税猶予制度の適用条件

納税猶予制度は、いくつかの条件があります。(下記をすべて満たすのではなく、どれか一つに該当すれば良い。)
・相続人が死亡する日まで農業経営を行った場合。
・相続税の申告期限までに、相続した農地で農業を開始し、その後も農業を継続すると認められる場合。
・相続人からの相続、又は相続人からの遺贈(生前一括贈与等)を受けた農地の場合。

上記いずれかの条件に該当する必要があります。上記いずれか条件を満たした上で
20年以上農業を続けた場合、猶予されていた相続税は全額免除となります。

注意したい点
『納税猶予制度』は相続税の全額が猶予されるわけでは無いという事です。

■どの様にして猶予額が決まるのか?

相続税で納税が猶予される税額は、
通常の方法で計算した相続税の総額から、農業投資価格に基づいて計算した相続税の総額の差額を引いた金額です。

ごく簡単に説明するとこの様になりますが、税率は、時々の法改正によって変わります。
通常の計算方法による相続税額、農業投資価格による相続税額、ともに、基礎控除額、税率、が関わってきます。農地の相続には必ず、税理士又は不動産会社へご相談されることをお勧めします。

■他に農地を相続した場合にするべき事

・法務局での相続登記
・農業委員会への届け出

届け出に必要なものは次のとおりです。

注意点
・法務局での相続登記に期限はありませんが、
農業委員会への届け出には、10ヶ月という期限があります。
・期限内に届け出をしなかった場合や、虚偽の内容の届け出をした場合は、10万円以下の過料が科される事があります。

■まとめ

いかがでしたでしょうか?
先ほども述べましたが、農地の相続税猶予額の計算には、複雑でわかりにくい部分もあります。猶予税額の計算に限らずに、農地の相続問題にお悩みの際には、不動産相談室かながわへご相談下さい。

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