借地(底地)に建てられた建物に関する借地借家法38条の適用について

はじめに

借地借家法38条で定められた定期借家契約は、条文で定める内容を満たせば原則的に「契約の更新をしなくても良い」という制度です。
この制度が設けられたおかげで、貸主側は契約期間や収益を予想に入れながら安心して賃貸経営を行うことができるようになりました。
しかし、この38条で定められた書類の交付や説明を怠った場合には契約内容の一部が無効となってしまうこともあります。
以下では借地(底地)に建てられた建物の相談事例を参考にしながら、そのようなケースについて考えてみることにしましょう。

相談事例

関東地方のある都市に住む47歳の男性です。
先祖代々から引き継いできた土地をとある不動産会社に長年貸し出しています。
不動産会社はその土地(つまり私から見れば底地)に店舗用の建物を建て、その建物をまた他の人に貸しています。
数年前にわかったことなのですが、実はその建物の現在の借り主というのは、私とも古くから親交のある知人だったのです。

問題はここからです。
先日、その知人から「ビルの件で相談に乗ってほしい」との連絡があり、次のような話を聞きました。

・不動産会社と知人は5年間の定期建物賃貸借契約(定期借家契約)を結んでいて、あと半年契約期間が残っている

・その建物で行っている商売がうまくいっているので、契約を結び直してこの先も借りたいと伝えたが拒否され、不動産会社は6ヶ月後に契約期間満了となり賃貸を終了する旨の通知をしてきた

・確かに契約書には契約期間と、その期間が満了したら契約更新はせず賃貸は終了する旨が書いてあるが、当時は期間が終了したときに商売がうまくいっていればまた契約し直せばよいと考えていた

・ただし契約前には口頭によるあいまいな説明があっただけで、契約以前に書面を交付してもらったり詳細な説明を受けたことはない

私としては長年仲良くしている知人であるだけに、何とか力になってあげたいところです。
しかし私と不動産会社との契約や長年の関係もあり、表立って不動産会社に話をするのも気が引けるところです。
何とか知人を助けてあげる方法はないものでしょうか?

「定期」の部分は無効となる可能性が高い

借地借家法38条の2項で定められている内容は簡単に説明すれば、
「貸主側はあらかじめ契約締結前に、この賃貸契約には更新がなく、期間が終了したら賃貸を終了する旨を書面を交付して説明しなければならない」
というものです。

しかし、先ほどの相談事例では「契約前に書面を交付して説明」がなされていないとのことでした。
したがって、過去の判例等から考慮すると、相談事例の「定期」借家契約は無効となり、期間が定められていない通常の借家契約とみなされることになるでしょう。

最後に

通常の借家契約となると、借主側にはより強い権利が与えられており、正当事由がない限り契約は更新されていくこととなります。
現実的には、よほどの理由がない限り(貸主側の)正当事由が満たされることはありません。
したがって、この相談事例でも引き続いて賃貸契約更新となり、この建物で商売を続けていける可能性が高いでしょう。
借地借家法38条には、定期借家契約に関する書類の交付や通知等について細かく定められています。
相談事例のようなトラブルを避けるためにも、定期借家契約を締結する前には必ず内容を熟知しておくようにしてください。

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