底地権者の地主と借地人は契約書や覚書を交わしておこう

はじめに

地主といえばお金持ちのイメージがありますが、なかなかそうでもないことも多くあります。
そういう場合、土地(底地)を売りたいと考えることもあるでしょう。
しかし底地が借地人と契約を結んでいた場合、借地人に黙って売るわけにはいきません。
スムーズに事を運ぶには何が必要なのでしょうか。
今回はそのことについてお話したいと思います。

地主と借地人のあいまいな関係

一口に地主といっても、様々な地主がいます。
しかし、やはり代々その土地を受け継いでいるといった人が多くいるでしょう。
そうすると「その土地を所有してから少なくとも数十年以上経っている」「借地人ができ契約してから数十年以上」ということは少なくありません。
地主が代々土地を受け継ぎ、借地人もその土地に代々住んでいるという可能性もあります。

そういう場合、特に契約のための契約書や覚書などの書類を一切交わしていないこともあります(口頭でも契約が可能なため)。
しかし「地主が底地を売りたくなった」など契約内容を変更したい場合には勝手に売ることはできません。
最初に契約を交わしていないのにその後の変更は勝手にできないというのは変な話ですが、それゆえに地主と借地人がトラブルになることも少なくありません。

3つの書類とその違い

では改めて書類にする場合、どのようなやり方があるでしょうか?
何らかの契約をする書類として「契約書」「覚書」「念書」という言葉が出てきますが、どのような違いがあるでしょうか?
それについて以下に見ていきましょう。

契約書とは

「2人(2つ)以上の意思表示が合致する法律行為」=つまり成立した契約があるという事実を証明するものとして作成される文書のことです。
法律行為とは例えば、Aさんが申し込んだこと(金銭、資産など何らかの約束事)に対しBさんが承諾したということです。

覚書とは

契約書を作成する前の段階において当事者(AさんとBさんなど)双方の合意した事項を書面にしたもの、あるいは既に作成された契約書を補足したり変更した文書のことです。
当事者全員が署名捺印し、日付を明記の上、原則として2通作成します。

念書とは

当事者の一方が、もう一方の当事者に(例:AさんがBさんに対し)差し入れる文書のことです。
借用書、誓約書、確約書なども念書にあたることがあり、一方的に一定の事実を認めるような内容になっています。署名捺印しているのも差し出した当事者のものだけです。

このように、文書によってそれぞれの意味合いが異なってきます。
冒頭での例のように地主が土地を売りたいと思っていても、確かな文書が存在していない(口約束だけである場合)と、例えば借地人が土地を売りたくない場合、トラブルに発展する可能性があります。
そういったことに対処するためにも、専門家のアドバイスを仰ぎながら覚書・契約書のような双方が合意した文書を作成しておきましょう。

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