配偶者居住権とは?~妻と子供が相続するケースで解説~

カテゴリ:相続のこと

はじめに

財産を所有している人が亡くなったとき、遺産の相続に関しては民法の第5編で規定されており、これを「相続法」と呼びます。
この法律に関しては、1980年に行われた改正以来長らくの間、大規模な変更が行われていませんでした。
しかし昨年2018年7月におよそ40年ぶりの改正が実施されました。
その改正内容の一つに、「配偶者居住権」と呼ばれる制度の創設があります。
これはどのような制度なのか、妻と子供が相続するケースを例に挙げながら見ていくことにしましょう。

制度の詳細

配偶者居住権とは以下のようなものです。
まず、亡くなった夫あるいは妻が所有していた建物に残された配偶者が住居としていた場合に、その建物の権利を「配偶者居住権」と「負担付きの所有権」に分割します。
そして、残された配偶者が前者を、配偶者以外の相続人が後者を取得するのです。
そうすることで、配偶者はその建物を生涯にわたって、また一定期間住むことができます。

以下に例を挙げながら見ていきましょう。
夫が亡くなり、妻と子供1人がその遺産を受け取るケースがあったとしましょう。
遺産の総額が7000万円(住居5000万円、その他2000万円)です。
法定相続分はそれぞれ1/2ずつですので、妻と子供は3500万円ずつを受け取る権利があります。
このようなとき従来の制度では、(妻と子供の関係性がよくないなど)最悪の場合、妻が住居を所有するため子供に1500万円を支払ったり、法定相続通りに取り分を確保するために住居を処分して清算したりしなければなりませんでした。

しかし、新制度では、例えば住居(5000万円)のうち2500万円を配偶者居住権として妻が、残りの2500万円を負担付きの所有権として子供が取得することで、引き続き妻はその家に住むことができるだけでなく、その他の財産2000万円のうち1000万円も受け取ることができるようになるのです。

つまり、この制度を利用すれば、残された配偶者は、これまで通り継続して自宅に住むことができます。加えて受け取ることのできる他の遺産も多くなるため老後の生活も安定することでしょう。

なお、この配偶者居住権が認められるのは、夫や妻が亡くなった(相続の開始)日にその建物に住んでいた配偶者に限定されます。
また、権利を行使するためには登記が必要になります。

最後に

改正された民法(相続法)の内容は、2019年1月から段階的な施行がなされることとなっています。
そのうち、今回紹介した配偶者居住権は2020年4月1日から施行されることとなっており、現時点においてこの権利はまだ認められていません。
配偶者居住権が認められるのは、2020年4月1日以降に生じた相続からです。
また、遺言書に配偶者居住権を記す場合にも改正後にその遺言書を作成する必要がありますのでご注意ください。

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