相続税の債務で節税出来る場合とは?未払いの固定資産税の取り扱い

相続時に未払いの固定資産税があったとします。その場合、相続税の債務控除で節税出来るものと出来ないものがあります。固定資産税の未払い分のうち、相続税の債務控除になる場合とならない場合についてお伝えします。

 

固定資産税ってどんな税金?
固定資産税は土地や建物に課税される税金です。1月1日地点で土地や建物を所有している人が課税対象となります。相続がある場合、相続日(死去された日)から相続人が土地や建物の所有者となります。固定資産税の納税通知書は毎年5月1日に送付されてきます。
相続人は5月1日に送付されている納税通知書をもとに、被相続人の代わりに固定資産税を払う事になります。

 

固定資産税の支払方法~基本は分納
固定資産税の納税通知書が5月1日に送られてきたとします。第1期~第4期までに分かれており、分納が基本です。
・第1期:6月1日~6月30日
・第2期:9月1日~9月30日
・第3期:12月1日~12月27日
・第4期:2月1日~2月28日
被相続人の死去日によって、相続税の債務控除に出来るか出来ないかが決まるようです。例えば、12月25日にお亡くなりになったとしましょう。

 

被相続人の死去日が12月25日~1月1日以前に亡くなった場合
12月25日から7日後の1月1日が来た時は、すでに相続人の土地と建物になっています。そのため、被相続人の相続財産である土地と建物の固定資産税についてはこうなります。

・1月1日以降支払う事になる固定資産税の額(その年の5月1日に送付されてくる納税通知書の金額)
→相続税の債務控除にはならない。1月1日において、土地と建物の所有者が相続人になっているからです。

・被相続人の死去日である12月25日から過去にさかのぼった場合、1番近い1月1日に被相続人が生きていた場合(当然です。)
→例えば、平成15年1月1日に被相続人が生きておられて、平成15年12月25日に亡くなられたとします。この場合の第3期(納期は12月27日)と第4期(納期は2月28日)に関わる未払いの固定資産税は相続税の債務控除として節税出来ます。

 

相続税の債務控除にプラスして所得税の必要経費になる場合がある?
12月25日に死去された場合、来年の1月1日の土地建物の所有者は相続人なので、来年の5月1日に送付されてくる納税通知書内の固定資産税は相続税の債務控除にはなりませんでしたね。
しかし、この様なケースの場合、相続税の債務控除にもなり、かつ所得税の必要経費にできる様です。

・12月25日に死去された場合で、その年の5月1日に発行された納税通知書内の未払いの固定資産税が第3期分と第4期分だった場合
この場合の未払い分の第3期分と第4期分は相続税の債務控除になりましたね。イメージは、本来支払うべき人である被相続人(死去された人)の債務なのに、相続人(遺族など)が替わりに払った時、相続税の債務控除になる感じです。
所得税的にはどうでしょうか。被相続人が個人で会社経営をしていて、その後継ぎが相続人である息子だったとしましょう。父親が毎年申告していた確定申告を、子供が引き継ぐ事になります。
個人の確定申告は1月1日~12月31日までが課税期間です。年の途中で被相続人が死去すれば、1月1日から死去日までは会社はお亡くなりになられた父上のものです。
その場合、死去された人の代わりに相続人が代理で確定申告をする事になります。この時の確定申告の事を準確定申告といいます。
納税通知書が5月1日に発行されているので、その年の12月25日に死去されたのなら、被相続人(父)が支払うべき第3期分と第4期分の固定資産税が未納という状態になり、相続人である息子が父親に替わり支払う事になります。

・被相続人が支払うべき固定資産税を相続人が代理で支払った場合
→被相続人(父)の準確定申告の必要経費とできる
実は、固定資産税は相続があった場合の未払いの固定資産税は、支払った相続人の確定申告の必要経費とする事もできる様です。とにかく固定資産税を支払った人の必要経費と考える事ができるからです。
→相続人が支払ったのだから、相続人の必要経費
→相続人が被相続人から引き継いだ、被相続人が死去した日から12月31日までの確定申告における必要経費とできる

 

相続税と所得税のどちらもの節税とすればお得~未払いの固定資産税
相続時に未払いの固定資産税があれば放置せず、相続税の債務控除と所得税の必要経費算入のどちらにも適用すれば節税につながります。
そのためにも被相続人の死去日、固定資産税の納付状況から債務控除や必要経費にできるかどうかを判断する必要がありそうです。

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